月刊・教室だより
名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)
【連載第206回】
子どもを縛る大人の「常識」
日頃子どもたちといろいろな活動をしている中で、痛感させられていることがあります。それは、大人の常識が子どものワクワクをそいでいる、心の弾みを阻害しているということです。自戒を込めて、列挙してみます。
「トイレは遊ぶところじゃありません」。確かにそうなんです、衛生観念としてもいずれ必要な「常識」 ですが、でも、見慣れない白いものが並び、ドアが閉まってカギがかかる、水を流すコックがあり、どこかに流れていく、引き出せる紙が置いてある、なんかわくわくすると思いませんか。
「きちんと片付けてから次の遊びね」。それはそうなんですが、遊んでいた積木が崩れて飽きてきたとき、隣に木の線路とミニ電車が見えたら、そちらに向かいたくなります。さあと手を伸ばすと、「やってたことを片付けてから、次でしょ」と保育者に声をかけられて…。「あ~あ」って子どもの心の声が聞こえます。それに、「何か僕を見張っていたの?」って感じを、はっきりでなくても感じ取っている子もいるような気がします。
「将来のことを考えて勉強しなさい」。うーん正論。でも、自分の子どもの頃のことを思い出してみてください。将来のことを考えていたら、不安に押しつぶされそうになって勉強なんて手につかない、ってなりませんでしたか。むしろ、「勉強はそのあとでいいから、将来のことをよく考えなさい」か「将来のことを考えずに目の前の勉強をこなしなさい」といった方が心情に即している気がします。
「濡れたままじゃダメでしょ、着替えなさい」。そのとおりです、風邪をひいて辛いのはその子。でも、ほらあそこに水鉄砲を持った友達が走ってる!追いかけなくちゃ!着替えてる暇はない、ここで遊びを切らないでー・・・。
高橋先生 |