月刊・教室だより

名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)

【連載第213回】

DIC川村記念美術館

 昨年八月に、千葉県佐倉にあるDIC川村記念美術館に行ってきました。とても気に入ったので再訪しようと思っていましたが、直後にふと新聞の文化欄の隅に「閉館のお知らせ」が載っていて、愕然としました。

 芸術鑑賞には、もちろん作品そのものが重要ですが、建築、自然、食なども揃っていると、さらに感銘が深まる感じがします。
 まず作品ですが、レンブラント《広つば帽を被った男》、クロード・モネ《睡蓮》、パブロ・ピカソ《肘掛椅子に座る女》、マルク・シャガール《赤い太陽》、それにヴァシリー・カンディンスキーなどのいわゆる抽象絵画、ルネ・マグリット《冒険の衣服》などのシュールレアリスムの絵画などが揃っています。モネはさすがにオランジュリー美術館の《睡蓮》には敵いませんが、レンブラントはあの「光」がまざまざと感じられ、ルーブル美術館で観た《瞑想する哲学者》以来の感動を味わいました。シャガールは昔はそれほど関心がなかったのですが、「オペラ座」の天井画《夢の花束》を見てから関心が湧いてきて、ここの《赤い太陽》を間近で観ることで、色彩感覚など真価が分かった気がしました。カンディンスキーはシュタイナーに触発された画家なので、もともと興味がありました。ここは混み合っておらず、パリの中世美術館のように、適度な距離から座って鑑賞できる点が、特に気に入りました。建築は、海老原一郎氏の手によるもので、景色、外光が巧みにとり入れられています。
 建物の背後には、白鳥が泳ぐ湖があり、周りに自由に散策できる森があります。途中には飲食可能なテラスもあり、その前の広場には野外作品が設置されています。
 館内には茶席があり、黒文字茶と和菓子をいただけます。黒文字茶は初めてでしたが、香り、味が気に入ったので、その後も購入して楽しんでいます。レストランでは、外の景色を眺めながら、イタリアンのコース料理がいただけます。味も接客もよかったです。もちろん、ミュージアムショップ、ギフトショップもあり、ギフトショップでは、作家ものの銅製のコーヒーメジャーが気に入ったので購入し、今も毎日使っています。
 三月いっぱいまでは開館しているようですので、あとわずかですが、春休みにでも可能でしたら訪れてみることをお勧めします。

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塾長先生