月刊・教室だより

名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)

【連載第207回】

超人列伝

 11年前から山を走り始め、8年前からはレースにも参戦。ここ数年は年代別で入賞できるようになり、昨年は50代で準優勝の栄冠も勝ち取りました。奥多摩の山中を真夜中に無補給で71・5km、4980mの累積標高を走り抜ける日本山岳耐久レース(ハセツネ)や、ゼロ合目800m地点から3711mの山頂まで4時間30分以内の完走を目指してひたすら登り続ける富士登山競走(今年は残念ながらタイムオーバー)など、ハードなレースにも参戦し、知り合いの方からは超人・鉄人扱いされることも多くなってきましたが、自分の走力が上がるにつれ、真の超人・鉄人の方々のお友達も増え、その桁違いの走力に驚嘆しています。

 かつての私もそうでしたが、ほとんどの方が想像できるのはマラソン(42.195km)まで。生徒たちに話をしてもあまりピンと来ていない様子です。そこで今日は一般にはあまり知られていないウルトラマラソン・トレイルランニングの超人をお二人ご紹介させていただこうと思います。

 1人目はKさん。フランスで開催されたメドックマラソン(補給がすべてワイナリーで水の代わりにワインを飲むことを義務づけられる)を全身緑色の宇宙人のスーツで3時間9分(私のフルマラソンのタイムより速い!)で完走した彼は、昨年、日本縦断レース青森~下関1550kmを14日とぶっちぎりで優勝したあと、そのままUターンし、なんと30日で3100kmを往復!翌日東京に戻っての皇居での凱旋ラン20kmをお付き合いしましたが、連日100kmを走破してきたとは思えない力強いランニングに驚きました。

 2人目はYさん。一昨日終了したばかりの日本アルプス縦断レース(TJAR)。新潟の海から北アルプス・中央アルプス・南アルプスを無補給(山小屋での宿泊も禁止)で縦走して静岡の海までの415km=マラソン10回分・累積標高27000m=富士登山8回分を8日以内で走破するという想像を絶する過酷なレース。日本中から厳しい審査を経て選ばれたスーパーランナー30人の精鋭の集う中、Yさんは2回目の参加で9位(6日11時間)という快挙!私も槍ヶ岳山頂で応援しましたが、堺雅人のようなソフトな笑みを絶やさず、にこやかに走り抜ける姿に感動をもらいました。

 おふたりは40代前半とまさにランナーとして脂の乗った年頃。先日還暦を迎えた私が太刀打ちできるものではないのですが、高い目標を持ち、全力で頑張る姿は人に感動を与えるもの。私のトレイルランナーランキングは現在、年代別で全国3878人中37位。60代の「還暦ジジイランナー」の頂点を目指してこれからも頑張ろうと思います。

宮地先生