月刊・教室だより

名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)

【連載第209回】

銀杏拾い

 私の住んでいる練馬区の幹線道路沿いに銀杏の木が植えられています。全国の街路樹の中で一番植えられているのは銀杏です。手入れにしやすさと害虫に強いということが決め手だそうです。そこを通りかかったときにまとまった量の銀杏が落果していたので袋に採取して持ち帰りました。直接触るのは差し控えたいので手袋で拾いました。
 銀杏は胚珠が子房に覆われていない裸子植物です。裸子植物には松、杉、ソテツなどがあります。銀杏は雌の木にしかなりません。銀杏は双子のサクランボのような形で落ちています。果肉に見えますがそうではありません。おおかたその木の周辺では取り終えたので帰宅しました。
 いよいよ下ごしらえ開始です。バケツの水で汚れを落とした後、ビニール手袋をはめて一つずつ実と皮を分離していきます。かぶれることがあるので手袋は欠かせません。数が多いので時間がかかりました。処理を終えた実は洗った後、金網を張ったふるいに乗せて乾かします。
 乾燥を終えた銀杏をいくつか小ぶりのジップロックに空気抗を開けて加熱します。80度くらいで加熱するとポップコーンのようにポンポンとはじける音がします。昔は紙の封筒に入れてレンジでチンだったのですが濡れて溶け出すのでこの方法で調理しています。入れた数近く音を聞いたら取り出して試食です。手作りの銀杏は皮がはじけて緑色の中身が鮮やかです。軽く塩を振って口に運ぶと秋の味覚が口に広がりました。市販の銀杏より小さめでしたが殻はやわらかめのような気がしました。銀杏は年の数ほど食うなという言い伝えがあり食べ過ぎると体に害を及ぼします。茶碗蒸しの添え物ぐらいしか料理法を思いつきませんが材料費がただなので多少の手間をかけても銀杏拾いは有意義だったと思います。
 かつて高校時代に銀杏がたくさん植えられていて休み時間に拾ってロッカーに保管しておいたところにおいで騒然となったことがあったのを思い出します。あの時の銀杏の行方について明確な記憶がありません。

藤田先生