教室だより121

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第122回】

プラモデル

 小学校時代、私がのめりこんだ趣味の一つがプラモデルです。当時、ちょうどガンダムのプラモデル(ガンプラ)が流行していて、男の子の部屋にはもれなく自分が作ったガンプラが飾ってありました。ニッパー・やすりを駆使して丁寧に部品を処理し、お手本通りの塗装を施し完璧な仕上げを目指す者。逆にダメージ加工を施し、アニメの中のワンシーンをジオラマで再現する者。仕上がりにとても個性の出るプラモデルでした。

 ところが、私の部屋にはガンプラは一体もありませんでした。私がはまっていたプラモデルは、「建築系」と呼ばれるものだったのです。「姫路城」・「松本城」などの城シリーズ。「日光東照宮」・「平等院鳳凰堂」などの寺社シリーズ。「牧場」・「水車小屋」などの風景シリーズ。友達のほとんどがロボットを作っている中、私はひたすら建物を作っていたのです。お城の石垣に生えている苔を表現する青のりのような粉末。牧場の草原を再現するための草の種。セットの箱の中には一風変わったものが入っていました。少し高価なものにはディスプレイ用の透明なアクリルのケースまで付属していました。
 設計図を見ても作り方がわからないときは、お隣の中学生に質問しに行くなど結構熱心に取り組んでいたと思います。また、部屋に長時間こもってプラモデルを作っていたため、接着剤の匂いが部屋に充満して怒られることもしばしばありました。しかし、一つ一つの部品が重なって、だんだん馴染みのある形になっていく瞬間はやはり興奮を隠しきれません。実際に建築現場でビルなどを建てている人たちもこんな気分なのでしょうか

 今どんなプラモデルが売られているのか、全然知りませんが、久々に童心に帰ってプラモデルを作ってみたい気分です。

小杉先生