教室だより122

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第122回】

真夏のブラスバンド

 

 どの学校にもある吹奏楽部。略すときはたいていは「ブラバン」だと思いますが、最近は「すい部」ということも多いようです。水泳部と紛らわしいですね。

 夏休みは吹奏楽部のメンバーにはとても大変な時期です。8月の初めにあるコンクール本番まではきついスケジュールが続きます。コンクールの課題曲、自由曲の練習、暑さとプレッシャーでくたくた。夏休みになったのに何でここまでとぼやきたくなります。まして、9月になるとすぐに定期テストですから、特に3年生は大変です。といって手を抜くことはできません。今年コンクールで金賞を逃したら先輩に合わせる顔がない、とかあるんです。
 でも、息を合わせて、1つの音楽ができた時の感動は本当に他では代えがたいものがあります。

 先日来、吹奏楽部の中学生たちと話す機会がありました。練習スケジュールの大変さ、1年生だと、コンクールのステージに乗れるメンバー、乗れないメンバーのこと、課題曲でのソロのプレッシャーのこと、パーカッションの様々な楽器の持ち替えのこと、いろいろ話してくれました。
 それらを聞いて、高校1年生の時のことを思い出しました。私は高校時代、吹奏楽部に所属し、担当楽器はオーボエでした。オーボエというのは私が入っていた吹奏楽「班」では学校の楽器が1台しかなく、2年に1人しか担当できません。先輩の3年生が8月の終わりに引退するまでは楽器が空きませんから、それまではクラリネットを吹いています。夏休みはコンクールに加えて文化祭前の追い込みの時期、汗だくで毎日朝から夜まで練習してました。暗くなってから近くの駄菓子屋でアイスを先輩におごってもらってかじりながら帰ります。
 そして、文化祭の本番、メインの曲の1つがベルリオーズの「幻想交響曲」第4楽章・断頭台への行進。最後の最後、憧れの女性パートリーダー(3年生)がクラリネットの美しいソロを一節吹き、コーダに突入していくところは、自分もセカンドクラかなんかをごにょごにょ吹きながらも感動にしびれていました。

 楽器を自在に吹くなんて、よっぽど小さい時からやっていなければほんとに難しい。でも、がむしゃらに練習しまくって何とか形にしていく苦労と楽しみを私も覚えています。「すい部」のみんな、また苦労話を聞かせてください。

高橋先生