教室だより13

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第13回】

私の数学「どん底」時代

 今でこそ偉そうに(?)教えていますが、私には、数学が大の苦手だった「どん底」時代がありました。 
 小学生の頃は、中途半端に勉強ができたせいもあり、先生の説明を聞いていなくても、テストはほぼ満点状態でした。中学に入っても、しばらくは、自己流のやりかたで“楽勝ペース”。ところが、中学2年生を境にだんだん分からなくなり、成績は急降下してしまったのです。高校生の時は、たまりかねた母親が数学の先生に頼みこみ、個人的に教えてもらったりしていましたが、相変わらずの低空飛行。
 そんな私でしたが、一浪をした時、転機が訪れたのです。予備校でT先生の授業を受け、「目からウロコ」体験。そして、なぜ私が数学でつまずいていたのかが、はっきり分かったのです。

 それまでの私の問題の解き方は、「脳みそをフル回転させ、足したり、引いたり、かけたり、わったりと、必死に計算しているうちに、なんとなく答えにたどり着く」というものでした。しかし、T先生の教えは違いました。「数学の問題を解くのに、思考力は必要ない。高2までの数学(数Ⅰ・Ⅱ、数A・B)は、単純な解法パターンが決まっており、焦ることなくそれにあてはめていけば、ちゃんと解けるように作ってある」というものでした。
 思い返せば、私が数学が苦手になり始めた中2は、「連立方程式」や「1次関数」が登場する学年。そういった単元では、直感力に頼った“自己流の努力”は歯が立ちません。そうではなく、先生に教わったとおりの“単純な手続き”を、バカ正直に積み重ねていくことが、実力アップの秘訣だったのです。

 生徒たちには、決して、私のような苦い経験をさせたくはありません。そのためにも、「頭は使うな!」と言い続け、「ノートに書く計算の1行、1行まで、先生とそっくりの解き方をしろ」と強要(?)し続けていきたいと思います。)

萩原先生