教室だより14

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第14回】

食育は子どもを救う、か?

 私は小学生の頃、好きな時間はと聞かれれば、「給食、体育、休み時間!」と答えていたものでした。なんと言っても給食。ふだん家では出ない揚げパンだとか、鯨の竜田揚げ、クリームパフェってのがありました。パフェとは言ってもアルマイトの平皿に盛り付けて食べてましたが、感動だったなあ。恥ずかしながら、お皿なめてた気がする。
 ソフト麺のミートソース、凍らせたみかん、三角パックの牛乳。私が中学生の時、「米飯給食」が始まって、なんだか衝撃だった。今思うと決しておいしくなかったけど、ご飯にカレー、うれしかったです。

 去年私は、息子が通う小学校の「給食試食会」に参加しました。大きなチョコチップパンと、コフタカブというスパイシーなお肉料理、ごま入りこふきいも、とても塩分を抑えた野菜スープ。なんておいしいものを食べてるんだろう。さぞや子どもたちは、私みたいに、給食が学校での心のよすがになっているだろうな。

 と、思いきや、私の仕事場で生徒たちに給食について話をむけても、今ひとつ話が盛り上がりません。「野方小の“のがたまき”って食べてみたいなあ、おいしいんだって?」というと、「べつに、たいしたことない」って。「じゃあ、給食で大好きなメニューは?」、「いやあ、特には」。そうなんです。やけに淡白な子が多い気がする。

 私の、6年生になった息子なんて、「給食大王」だって。おかわりに命を懸けてます。4時過ぎに帰宅しても、「給食食べ過ぎて、まだおなか減ってない」なんて言ってます。うちではおやつ代、大助かり。

 偏食は子どもをだめにする、添加物の恐ろしさ、輸入食材の危険、必須栄養素が欠乏したらなどなど、いま食育が小中学校ではおおはやり。大事なことですけどね。でも何より、食べる喜び、給食が心躍る時間であってほしい。毎朝学校から配られる献立表を見て、じゅるじゅるしながら学校へ向かってほしい。「未来少年コナン」でジムシーが子豚を「うまそう」と名付けたのを覚えてますか? あれですよ。「これ、食べたーい!」って思わせるのが大切ですよね。

高橋先生