教室だより142

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第142回】

清澄白河

 以前から、けっこういろんなところに行っているわりには、東京(というか江戸)巡りをあまりしていない思いがあって、機会があれば出かけてみようと考えていたところ、やっと休みができたので、手始めに清澄白河に行ってきました。
 まず、霊巌寺(れいがんじ)をお参りしました。ここでは、江戸深川の地蔵坊正元が、京都の六地蔵に倣って、宝永3年(1706年)に発願し、病気平癒のために江戸の出入口六箇所に造立した、丈六の地蔵菩薩坐像の第五番、銅造地蔵菩薩坐像(東京都有形文化財)を拝することができます。また、松平定信墓所(日本国指定史跡)もあり、定信が陸奥白河第三代藩主だったことから、白河の地名がつけられました。
 次に、深川江戸資料館を訪れました。 ここでは、江戸時代末(天保年間)の深川佐賀町の町並みが実物大で再現されており、当時の庶民の暮らしを偲ぶことができます。写真をご覧ください。
 その後、お昼には深川飯をいただきました。深川飯とは、アサリなどの貝類とネギなどの野菜などを煮込んだ汁物を米飯に掛けたもの、もしくは炊き込んだもので、今回は味噌仕立ての両タイプのセットを初体験しました。
 午後は、清澄庭園に行きました。ここは、元禄期の豪商・紀伊國屋文左衛門の屋敷があったと伝えられ、享保年間には下総関宿藩主・久世氏の下屋敷となり、1878年(明治11年)に三菱財閥創業者の岩崎弥太郎が買い取り整備した庭園です。園内には、芭蕉の「古池や」の句碑もあります。ちょうど池で蛙が卵をいっぱい産みつけていて、面白かったです。
 清澄白河にはほかにもたくさん名所旧跡がありますが、御存知のように、それとは対照的に、最近は最先端のハイセンスな町としても知られています。訪れていいと思ったのは、理系小物のリカシツ(ペン立て用にひとつ購入しました)、有機的なデザインの家具、食器がすばらしいババグーリ、北海道チーズの「チーズの声」などですが、いまさらではありますがまだ体験していなかった「ブルーボトルコーヒー」には文字通り目が丸くなってしまいました。コーヒーは果実だったんだとはじめて認識しました。コーヒーの概念が変わりました。

写真・・・1)地蔵菩薩 2)俯瞰したところ 3)干鰯・魚〆粕・魚油問屋「多田屋」 4)八百屋「八百新」 5)井戸等 6)猪牙舟(ちょきぶね) 7)天麩羅の床店~フランス人の家族が楽しんでいました。 8)深川飯 9)芭蕉の「古池や」の句碑 10)リカシツのペン立て

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塾長先生