教室だより145
専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)
【連載第145回】
ノストラダムスの大予言
「50年後、100年後、世界はどのように変わっているのか?」。未来予測は、テレビ・雑誌・書籍、どのメディアでも人気のコンテンツです。家電や乗り物の未来に焦点を当てたものから、地球環境・宇宙開発の未来に至るまで、切り口は多種多様です。中には「AIの暴走」・「地球外生命体との接触」などを取り上げるものもあります。未来予測というよりまるでS・F映画といった様相です。
1970年代、私が小学生の頃、ベストセラーになった本がありました。「ノストラダムスの大予言」(五島勉)世紀の大予言者、ノストラダムスの予言を研究した本です。250万部売れ、映画にもなり、続編が次々と出版されました。怪しい色合いの人面像が表紙の新書で、本棚の中でも異彩を放っていました。「1999年7の月、恐怖の大王が空から降る。」この予言が一番有名でしょうか。都市伝説と同じく半信半疑で楽しむべきものなのでしょうが、小学生の間ではかなり真剣に話し合ったものです。「恐怖の大王とはいったい何なのか?」・「1999年に地球と人類は滅んでしまうのか?」
当時、恐怖の大王の解釈として挙げられていたものは、「核戦争」・「環境問題」・「彗星の衝突」・「天変地異」・「伝染病」などでした。友達の多くは、冷戦下のアメリカとソ連による全面核戦争を主張していましたが、私は彗星衝突派でした。今考えると、環境問題が一番恐怖の大王にふさわしかったなとも思います。
幸運にも1999年に地球と人類は滅びませんでした。ノストラダムスの予言は外れたわけですが、果たしてそれで終わりでしょうか。恐怖の大王の正体が環境問題だと仮定すると、我々はいまだにそれと戦っていることになります。しかも全く勝利できていません。温暖化に始まり、大気汚染・水質汚濁・ゴミ問題・核燃料の処分に至るまで、未解決の問題が山積みです。ノストラダムスは予言をしているのではなく、未来について真剣に考えるきっかけを人類に与えているのではないでしょうか。
小杉先生 |