教室だより146

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第146回】

「くたくただ!」

 4月、新学期を迎えてから約3カ月、やっと、やっと夏休みがやってきた。長かった。10連休のゴールデンウィークの後が特に長かった。新しい体制の部活、学年初めての定期テスト。次々に行事がやってくる。「疲れた、死ぬー」が口癖になってしまった中学1年生、いるんじゃないだろうか?
 本当に1学期は疲れる。新しい学校は疲れる。新しい担任、教科ごとに変わる先生は疲れる。初めて隣になった同級生、給食の時間も疲れる。そして休み時間も疲れる。くたくただ。
 先輩後輩って本当に疲れる。あんな大人みたいな先輩たちと一緒に練習なんて考えられない。私は中学校に入学して、野球部にはいった。野球部は毎日朝練。1年はノックの球拾いだけど、遅いとどやされる。キャッチャー希望だった私は、たまに抜擢されて、エースの先輩の球を受けていたら、その先輩にやっぱだめだという顔をされて、疲れる。ああ、くたくただ!
 わたしの半世紀以上の人生の中で、1番疲れたのが中1の1学期だ。ともかく体力的にきつかった。部活はもちろん、学校が遠くなり、制服の学生服の詰襟は窮屈だし、カバンは殺人的に重く、体育着、辞書、グローブ、バット。ヘルメットをかぶって自転車通学。雨の日はカッパを着ていく。校歌を覚えさせられる。寒くてもプールがある。本当にくたくただ!
 新入生として背伸びして追いつこうとするから疲れるのだろうか。追いつきたいものがある。それっていいことだと思う。まだ子どもの気分と体を引きずっているけれど、何とかしたいという気力で乗り切るのだ。
 どうしようもなく疲れたときには、宿題をやらなくていいから、美味しいものをたくさん食べてたくさん寝よう。明日はきっと、少しできることが増えている。明日じゃなくても明後日か1週間後か。成長するって大変だけど素晴らしいことだ。
 夏休みを経て、2学期になると、不思議に楽になっていた。気づかないうちに体力がついて、どこか図太くなっていたのだ。だからきみ、山は超えたよ。
 お疲れ様!明日はいいことがきっとある!

高橋先生