教室だより15

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第15回】

土曜日の午後

 小学校の高学年の頃、土曜日は本当にワクワクする一日でした。学校は午前中のみ。半ドンの土曜日の午後の解放感は格別でした。

 3時間目が終わるあたりから、もう授業が終わった後のことを考えて気持ちは上の空。4時間目が始まる前の休憩時間には、何人かの友達と遊ぶ約束をして。帰りの会が終わると、みんなダッシュで家に帰ってお昼ごはんを食べて、すぐに遊びに行っていました。とにかく楽しかったのです。もう、人生の最高地点でした。

 とりあえず4人くらいが誰かの家に集まって、「今日なにする?」から始まるのです。野球盤や人生ゲームとかで盛り上がったあとは、他の友達の家を順々に回って人数を増やしていって、秘密基地のある近くの空き地や学校のグランドで、サッカーや野球をやったりしました。
 なにしろいくら遊んでも次の日は日曜日なのです。明日も休みじゃんって思ったら、やたらテンションが上がってしまい、無謀な遊び方をして、絶対どこか怪我をしてました。ルールなんかも適当だからささいなことで喧嘩をして、でもすぐに仲直りをして、帰り道の駄菓子屋でジュースを飲んだりしながら、明日また遊ぶ約束をして帰るのです。

 時には一人で家に帰るのもいいものでした。石ころを蹴りながら歩いたり、普段通ったことのない裏道を通ったり、堤防の上を歩いてみたりしながら、通学路以外の道を無駄に長い時間をかけて家に帰るのです。「金属を踏み外したら死亡」とか、勝手なルールを作っていつもの道を帰ることもよくありました。ピンチの時にはポケットの中の釘を投げて、安全地帯を作って進むのです。

 下校時間後の土曜日の午後の教室の雰囲気も好きでした。いつもの騒がしい教室とは違って、どこかユルイ空気が漂っているあの“静けさ”がなんというか、とても落ち着くのです。係りの仕事で一人帰るのが遅くなった時など、なんともゆったりした時間が流れていくのをぼやーっと感じながら、しばらくの間、教室の窓から校庭を眺めていました。

 本当に土曜日の午後は最高でした。平日でもなく休日でもない特別な一日の特別な時間。でも、週休二日の今の子供たちは、味わうことができないんですね。
 土曜日の授業って、復活したら意外に評判いいと思うんですけど。

宮地先生