教室だより157

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第157回】

ソルフェージュ

  授業の最初に行うルーティーン。算数の計算練習・国語の漢字テスト・英語の単語テスト。体育であれば準備体操、音楽なら発声練習でしょうか。私の中学校の音楽の授業では、発声練習の後にもう一つお決まりのメニューがありました。ソルフェージュ。あまり聞きなれない言葉ですが、楽譜の音符を読む訓練です。音楽の教科書とは別にソルフェージュの教材をいつも持って授業に臨みました。短いフレーズの楽譜がたくさんのっていて番号がふってあるだけのシンプルな教材です。これを左手に持って右手で太ももをたたきながら拍子をとります。歌詞はないのでドレミで歌います。1番や2番の楽譜は四分音符のみで、音もドとレしか出てきません。番号が進むと他の音符が出てきたり、音の数もぐっと増えていきます。後半になると、小節の数も増え、拍子の取り方も複雑になっていきます。
 出席番号順に毎回5名くらいソルフェージュを進めていきます。音を外したり、音符の長さを間違えなければ、どんどん先に進めます。間違ったら次回自分の順番の時に続きから始めます。吹奏楽部の子などは、1回で50個ぐらい進んでいたと思います。逆に、いつまでたっても10番を超えられない人もいます。私は可もなく不可もなく平均的な成績でした。特に休符をすっ飛ばしてしまう癖があり、何度も間違えた記憶があります。当然、同じフレーズを何回もトライしなおすことになるので、暗誦してしまいます。何番目のフレーズかわかりませんが、今でもつい口ずさんでしまいます。
 大人になってからは、楽譜を読む機会はめっきり減ってしまいました。音楽を聴くにしてもカラオケを歌うにしてもドレミを意識することはありません。ソルフェージュのことを思い出すうちにまた楽譜に向き合ってみたいなと思うようになりました。長年習っていた楽器(エレクトーン)を再開してみようかなどと考える今日この頃です。

小杉先生