教室だより174
専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)
【連載第174回】
アキレスと亀
先日、あるテレビドラマで、「ボールはある高さから落下させると、本当に地面に着くのか」ということを言っているシーンがありました。当たり前ですが、ボールは地面に着きますよね。ただ、これを半分ずつの落下距離で考えていくとどうなるでしょうか。
つまり、ある高さから落下させると、ある時間で、ボールは元の半分の高さまで落下します。そこからまた、ある時間経過すると、ボールは残りの高さの半分まで落下します。またそこから…というように考えていくと、ボールは地面には近づいていくものの、常に地面より上にあるということになり、永遠に地面には着かない、ということになります。不思議ですよね。
この話は、ゼノンの「アキレスと亀」という話のパラドックスをアレンジしたものです。
~アキレスと亀~
まず、アキレスの数メートル先の地点Aに、亀がいるとします。当然ですが、アキレスの方が速いスピードで亀を追いかけます。アキレスが地点Aに着いたとき、そこまでかかった時間で、亀は先の地点Bに着きます。その後、アキレスが地点Bに着くと、亀はその時間で、さらに先の地点Cに着きます。このように繰り返し考えていけば、亀はいつまでもアキレスの前にいることになり、永遠に追いつかれることはないということになります。
普通に考えてみれば実際には追いつくはずですが、こう言われると、確かに追いつかないという結果になりますよね。
この矛盾は、どのように解決できると思いますか? なかなか難しいと思いますが、あえてここでは、結論は書かないでおきます。自分なりの結論を出してみてください。先のボールの問題やアキレスと亀の問題も、ヒントは「時間」です。
このように、日常、当たり前のようなことでも、角度を変えて考えてみると、「?」と思えるようなことがあるのは面白いですね。
相原先生 |