教室だより176
専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)
【連載第176回】
バード・ウォッチングの季節
冬枯れの季節は見通しがいいので、野鳥の観察に適しています。公園の木々に目を向けると、一番目につくのはギャーギャーうるさく食欲旺盛なヒヨドリ。夏場は見つけにくい臆病なシジュウカラやメジロ。大きな体でダイナミックに動き回るオナガ。人懐こい動きで地面をちょこちょこ歩くハクセキレイ。冬には都会の公園でも意外と鳥たちの姿をたくさん見られます。そして私は鳥たちを見ているとなんだか心が晴れ晴れしてきます。五輪真弓の「鳥になれ」ですね。入試の本番が近付いてきましたが、勉強に疲れたら、たまには視線を上げて、鳥の姿を見てみるのもいいと思います。
鳥は、ことわざ・慣用句によく登場します。日本語には有名な「能ある鷹は爪を隠す」や「鶴の一声」、「カラスの行水」とか、「雀の涙」とか、すぐに浮かんできますが、では英語のことわざ・慣用句はどうでしょうか。有名どころを見てみましょう。
①The early bird catches the worm. 早い鳥はミミズを捕まえる。
→もちろん「早起きは三文の得」ですね。
②Birds of a feather flock together. 1つの羽根の鳥たちは一緒に群れる。
→「類は友を呼ぶ」
③A bird in the hand is worth two in the bush. 手の中の一羽の鳥はやぶの中の二羽の価値がある。
→「明日の百より今日の五十」と辞書にはありますが、この言い回しはほとんど聞かないですけどね。
④The bird has flown. 鳥は飛んで行ってしまった。
→「あいつ、ずらかりやがった。」
⑤Fine feathers make fine birds. 素敵な羽根は素敵な鳥を作る。
→「馬子にも衣装」
⑥ as wise as an owl フクロウと同じくらい賢い →とても賢い
→そういえば、「くまのプーさん」のオウルは、学者然としているキャラでした。
これらの表現には文化の違いが表れていておもしろいです。そして大学入試でも、たまに英語のことわざを題材にした出題があります。例えば、少し前の東京女子大学の英作文の出題で、「An
apple a day keeps the doctor away.」(1日1個のリンゴで医者いらず)の内容を50語程度の英文で説明するというものがありました。ですから、時には、半分勉強、半分興味本位で、こうした言い回しを追ってパラパラ辞書を繰ってみてください。
付記: 今年2022年の大学入学共通テスト、英語の第6問Aは、上記①のことわざをそのまま引用し、朝型人間、夜型人間を「early birds=larks(ヒバリ)」、「owls」と呼んで対比しながら論を展開する鳥づくしの出題でした。そして最後の言葉は、「周りにいるのはフクロウとヒバリだけじゃなさそうですよ!」
高橋先生 |