教室だより183
専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)
【連載第183回】
朝のリレー(谷川俊太郎)国内編
3年ぶりに行動制限のないお盆休みだったこの夏、実家の因島に帰省してきました。着くなり広い庭のある兄の家に移動し、3家族で恒例のバーベキュー。数年ぶりに再会する甥や姪の姿もあり、にぎやかな時を過ごしました。6時くらいからバーベキューの支度を初め、そろそろ食べようかという18時22分に写真を撮ったのですが、外はまだ昼間の明るさのよう、ちょうど1時間後の19時22分にまた写真を撮ったのですが、やっと薄暗くなったくらい。完全に真っ暗になったのは20時近くになった頃でした。
8月12日の東京の日の入り時刻は18時34分、広島は19時2分とほぼ30分の差があります。この30分の感覚のずれは上京した1年目にはかなり頻繁に感じるときがありました。冬には大学の4限の授業が終わる16時10分に外に出るともうあたりが薄暗くなっているのに驚き、(東京の冬の日没は16時28分・広島は17時00分)夏になると朝の4時にはもうあたりが明るくなっているのにびっくりしました。(東京の夏の日の出は4時25分・広島は4時57分)
子どもの頃の新聞配達は朝5時30分から配り始めていたので冬はずっと真っ暗な夜道を歩いていたのですが、東京では配り始めてすぐに明るくなり始めていたはずです。(東京の冬の日の出は6時50分・広島は7時17分)
経度が7度しか違わない東京と広島でこれだけの差があるのですから、沖縄の人が北海道に引っ越したらもっと大変。与那国島の夏の日の出は6時00分、それに対して根室は3時37分!なんと2時間半近くもの差があり、ぐーぐー寝ていたはずの朝の4時にはすでに真昼の明るさになっています。
かたや与那国島の冬の日没は18時00分なのに対し、根室は15時42分。昼間の明るさのはずの夕方4時には北海道はすでに夜になっているのです。
さて最後にクイズを一問。日本(ただし南鳥島を除く)で最も早い初日の出が見られるのはどこか?
「そんなの根室半島の先っぽの納沙布岬に決まってるじゃん」「いや、北方領土があるから択捉島東端のラッキベツ岬っていう引っかけ問題だな」と答えた方、鋭いですが残念ながら不正解。答えは「富士山山頂」ラッキベツ岬が6時44分なのに対し、富士山山頂は6時42分。高い山の上のほうが当然日の出は早く見られます。これ、社会科が得意な人ほど引っかかりますので試してみてください。
宮地先生 |