教室だより19
専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)
【連載第19回】
ケアレスミス地獄
以前受け持っていた、ある中学生。理解力はあり、良く努力もしていたのですが、テストとなると、ケアレスミスが少々目立っていました。懇親会で話される親御さんの訴えは、いつも、「うちの子のケアレスミス、なんとかなりませんか?
そのことで、つい子どもにきつく当たってしまいます」というものでした。そのたびに、「少しミスは多めですが、そのわりには高得点をとれているので、それほど心配しなくても…」とお答えしていたのですが。
ところが中3になり、いよいよ高校受験勉強が本格化してくると、突然、ケアレスミスの嵐になってしまったのです。答案用紙を見せてもらうと、ふだんの授業だったら、まず間違いはしないような問題まで、次々と×の山。「今度こそは」と、本人が気合いを入れれば入れるほど、ミスはどんどん増えていき、生徒自身も首をかしげるばかりです。そこまできて、私ははたと気づきました。「これは、精神的なプレッシャーのせいだろう」と。
私は自宅で、子育て相談の仕事をやっていますが、小学生でも、時々似たようなケースがあります。ある日たまたま、学校でおもらしをしてしまい、それがとてもショックだったような時、「また、してしまうのでは」と恐れるがあまり、そのストレスで、かえっておもらしが止まらなくなってしまうことがあるのです。
そこで私は、そういった心のメカニズムを、生徒本人とお母さんに説明し、「もともと学力があるのだから、多少のケアレスミスが出たとしても、合否には影響しない」「テストでのケアレスミスは、いっさい気にしなくてよい」という方針で、「ミスを気にしないでいれば、必ずミスは減ってくる」とお話しました。そして作戦は大成功。あっという間に、ケアレスミスは激減したのです。
がんばれば、ミスは減っていくもの。ですが最近は、“過緊張状態”になっている子どもが多く、そのようなケースでは、「がんばらない方が、ミスは減る」ということもあるのですね。
萩原先生 |