月刊・教室だより

名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)

【連載第190回】

多肉植物2

 以前にも多肉植物を育てている話をしましたが、最近は特にリトープス、ハオルチアに凝っています。

 リトープス(Lithops)という名は「石のような顔」(ギリシア語のlithos石+ops顔)という原義をもち、字義どおり非常に変わった見た目をしています。南アフリカ原産です。多肉植物は全般に日本の冬の寒さも夏の暑さも苦手という厄介な性質をもっていますが、リトープスは特に夏は完全に休眠するため、水を与えてはならず、暑さからも護らねばなりませんし、十月から五月は活動期に入りますが、冬の寒さからも護らなければなりません。風も必要です。また、春先には植物のくせに脱皮して大きくなる性質があり、その際も水やりを控えないと二重脱皮を起こしたり、溶けてしまったりします。秋には、二つに分かれた隙間からきれいな花を咲かせます。種子からも増やせますが、分頭によっても増えていきます。半透明の窓のようなところから光をとり入れているものが多いです。

 ハオルチア(Haworthia)は、植物学者のハウォース(A.H.Haworth)にちなんで名付けられており、やはり南アフリカ原産です。形は多様性に富んでおり、硬葉系、軟葉系、中間系に分かれますが、たとえば軟葉系のなかでも玉扇のような変わった形のものもあり、オプツーサなども変わっています。リトープスよりは育てるのが難しくない印象です。茎はほぼなく、葉は厚みがあり、多数の葉が瓦重ねのような形で出ます。花は長い花茎が出て、その先の方につきます。種子もとれますが、脇から子株が出てきます。やはり窓をもつものがあります。

 ゲーテに原植物という理念があります。全植物を原葉からの変態(メタモルフォーゼ)として捉えていくものです。ここでは詳しく述べることはできませんが、多肉植物はほぼ葉であり、ここから原植物が眼前に浮かび上がってくる心持ちがします。

※写真は→こちら

塾長先生