教室だより20

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第20回】

くまのプーさん、みんな

 私の2歳5ヶ月になる娘は、いま、『くまのプーさん』が大好きです。「ごっこあそぼ!」といっておもちゃのお皿やコップにどんぐりを盛り付けると、「チダー(ティガー)はどこ、ピーはどこ」と、うちのぬいぐるみたちを持ちだしてきて並べます。東京ディズニーランドの「くまのプーさんのハニーハント」はまだ怖すぎたみたいですが、「ぼくはただのとぅ~も~(くも)」って歌いながら、『プーさん』のビデオをよく見ています。
 私の職場の教室でも、プーの話題は子どもたちみんなに通りがいい。そういう小さい時に見ていた作品ということでは、『トトロ』、『ドラえもん』、『アンパンマン』あたりと肩を並べるでしょう。

 マイペースなプー、ひがみっぽいけど粘り強いイーヨー、いつも不安で心配性のピグレット、口うるさいラビット、傍若無人なティガー(石井桃子の訳ではトラーだって)。どれも子どもらしい、ちょっとやっかいだけど憎めない性格をしています。

 いますよね、こういう子たち。どのキャラをみても、あるある、私(のまわりの子ども)もこういう時にこういう反応をするよ、と感じます。
 ほしいものが手に入らない時に、「『ハチミツをひとなめ――』・・・『か・・・・・・さもなきゃ・・・・・・時と場合によっては、なめない。』」なんて自分からつぶやいている子。
 「『よろしい。』と、イーヨーはいいました。『出発だ。しかし、わしのせいにはしてくれるなよ。』」そうそう、そんなふうにネガティブが基本になっちゃってる子とか。
 そういう私も「つまるところ、つまったんじゃ」(アニメのオウル)っておやじギャグがつい出てしまいそうな時があります。プーやティガーにむちゃくちゃにされたラビットの「なんで、なんで、なんで。」(アニメ)なんて、私も妻も、子どもらに振り回されていつも叫んでいます。

 それぞれのキャラが好き勝手にやっているけれど、本当に楽しそうです。そして最後のクリストファー・ロビンの言葉。「だけど、ぼくがいちばんしてたいのは、なにもしないでいることさ。」貴重な時間。気づかないんですけどね。うちの6年生と3年生の男子はアニメシリーズの『プー』を見て、しみじみ「プーって本当に馬鹿だねえ。」って言ってました。自分たちのしていることもそう変わらないのに。ああ、「プーのおばかさん」!

※本文は、『くまのプーさん プー横丁にたった家』(A・Aミルン・著、石井桃子・訳(1962年、岩波書店刊)から引用しました。

高橋先生