教室だより7

専任講師陣によるエッセイ(毎月20日更新)

【連載第7回】

リラクゼーションと学習

 私は、小学校高学年の頃から、肩こりに悩まされていました。その頃よく、本屋の店先で漫画の立ち読みをしていたので、それがよくなかったのでは…などと思っています。友だちのY君の家がやっていた本屋さんという気安さもあって、どっかと腰を下ろしながら、何時間もうつむきながらページをめくっていたのです。でも、小学生の頃から肩こりなどという人は、私の年代ではめったにお目にかかったことはありません。
 ところが最近の子どもたちは、けっこう肩こりの子どもが増えているようです。本人は自覚していないのに、肩を触ってみると、ぱんぱんに張っているようなことも珍しくありません。肩こりではないにしろ、体全体に緊張レベルが高いことは、今どきの子どもに共通な特徴なのではないでしょうか。

 私は当教室で講師を務めるかたわら、別の場所で、親子カウンセリングの仕事にも携わっています。そこでは、おもに入学前の小さな子どもたちと関わっていますが、体の緊張レベルの高い子どもは、さまざまな問題を生じやすいのです。
 たとえば、落ち着きがなく、ちっともじっとできないような子ども。一見、気楽に行動しているようですが、実は、とても緊張した体なのです。その不快感をまぎらわすため、たえず動き回らざるをえないのです。絶えずしゃべり続けて、緊張をまぎらわそうとしている子どももいます。
 極端に集中力がなかったり、根気が続かなかったりという子どもも、ほとんどの場合、体の過緊張状態がその原因になっています。肩に力が入りすぎ、息が浅くなってしまっているので、疲れやすく、すぐにエネルギーが切れてしまうのです。

 昔のスポーツの世界では、体がへとへとになるまで走ったり、筋トレをやりまくったりして、体力を作っていくことが主流でした。しかし現在では、一流選手は皆、練習時間の半分近くを「リラクゼーション」(緊張をゆるめる体操)に当てているのだそうです。
 私も、中学生などを教えていると、時々、「授業の半分の時間をリラクゼーションに当てた方が、勉強の能率も上がるのではないだろうか」と思ったりすることがあります。ただ一方で、やることをやってもらわなければならないので、なかなかそうもいかないのですが。

萩原先生