月刊・教室だより

名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)

【連載第202回】

時計の比喩

 習慣をつけるのは難しいものですが、悪い習慣を良い習慣に変えていくのはとりわけ困難です。皆さんも時折「今度こそ心を入れ替えてかんばるぞ」と決意してみるものの、実際にはなかなか続かないことが多いと思います。
 いざ取り掛かってみると、「めんどくさい」「お腹すいた」「寒い」「暑い」「ユーチューブでもちょっと見るか」「これ見たら、あれとあれも見とかなきゃ」「このお薦めもいいぞ」「そういえば、この間録画したやつを早く見ないと」「でも、またテストで変な点とったら、スマホ取り上げられちゃうぞ」「しかし、あいつはむかつくな」「日曜日は何して遊ぼう」「「あの子に気に入られてるかな」「あいつは今日のこと怒ってないかな」「このままじゃ、受験、心配だな」「こんなことしてないで、やっぱりやらなきゃ」「でも、やっぱりうざい」「自分だけ成績置いてかれたらやだな」「決意はどうした」「うーん、気持ちが盛り上がらない」「ちょっとだけ借りた漫画読むか」「うわっ、全巻読んでしまった」「やばっ、もう寝る時間じゃん」などなど、「こころ」は秒単位で揺れ動き、千々に乱れると思います。これは、いわば「秒針」です。
 当初心に決めたことを一秒、二秒と貫く努力をして、六十秒までいけたら「長針」が一つ進み、決意が「いのち」に刻まれます。 何度も何度も失敗すると思いますが、繰り返し一分に達するように努力を続けます。
 それができたら、今度は一分を二分、二分を三分と延ばしていき、なんとか六十分に達することができるように努力します。そうすると「短針」が一つ進み、決意が「からだ」に刻みつけられるようになります。
 努力の主体、すべてをコントロールするのは「わたし」=「たましい」=自我です。実際、この話をして、生まれ変わったように着々勉強を進められるようになった子もいます。皆さんもこのイメージをもって実行することに挑戦してみると、きっと習慣が改められ、決意を貫けるようになっていけると思います。

塾長先生